True‐start‐

13/19
前へ
/326ページ
次へ
―るいSIDE― ――――…… ―――… ――… 「…………それでは、今からは文化祭のことについて話し合います。何か、出しものの提案はありますか?」 皆の前に学級委員長が立ち、話を進める。 そんな学級委員長にるいは頬杖をつきながらきく。 ……―――だるい。 あと一時間もあるというのが苦痛だ。 しかし、これが終わったら今日の授業は終わりなのだ。 るいはあと一時間で終わる喜びで笑顔を見せる。 「はいはーい!!!やっぱメイド喫茶でしょ!!」 「だよなっ!俺も一緒!!」 「俺も!るいちゃんのメイド姿!」 男子が次から次へと立ち、同じ言葉を繰り返す。 ……………げっ! よりによって自分の名前がでるとは思わなかった。 笑顔だったるいの顔は一瞬にして苦笑いに変わる。 ………志紀は志紀で、興味なさそうに隠れて携帯いじってるし。 るいはチラッと斜め後ろにいる志紀の方を見る。 ……―あたしが男子にメイドメイドって言われてるのに………。 志紀が杏里のことしか考えてないっていうのはわかっている。 るいは拳をつくり、ギュッと握りしめる。 「それでは、メイド喫茶で…いいですか…?」 「そんなんじゃ男子しか楽しまないじゃない!」 学級委員長の話を遮り、女子が反論する。 「ホストクラブよっ!女子にもてるわよ?」 一人の女子が立ち、男子にむけて言う。 「俺達はるいちゃんのメイド姿が見たいだけなんだ!」 …………………おい。 思わず突っ込んでしまうのは無理もない。 「そんなの、あたし達だって志紀くんのホスト姿見たいのよ!」 「………………………………はっ?」 携帯をいじっていた志紀は顔をあげ、女子の方を眉をつりあげて見る。 ………女子は志紀目当てか。志紀のホスト姿か…。 見たいけど他の女子には見せたくない。 そんな複雑な心境ではあるが……。 おもしろそう……。 男子VS女子となった教室の中で、るいはくだらないとでもいうように溜め息をついた。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3683人が本棚に入れています
本棚に追加