True‐start‐

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――――…… ―――… ――… ――――… 「……―――うん、暇だから別にいいよ。ん…わかった。じゃあ一時間後に」 ――――…ピッ 誰もいない教室。 そこでるいはロッカーの上に座っていた。 電話していた携帯をパタンと閉じ、溜め息を静かにつく。 「………煙草…ないや。買わなきゃなぁ」 るいは制服のポケットを探り、空箱を自分の目の前にだすと、またしまいこんだ。 自分以外誰もいない教室は不気味なほどシーンとしている。 でもこの空間が心地良い。 「そろそろ行こっかなぁー――……ん?」 パタパタ――バン るいは廊下側の方に目をむける。 そして音の主と視線をあわせると、優しく微笑んだ。 「………急に足音が聞こえたかと思ったら扉が開いたから…幽霊かと思った」 「………幽霊じゃねーし…。てか、まだいたのかよ」 「…――そういう自分は何してたのよ、志紀」 るいはニヤニヤと笑いながら志紀を見つめる。 そんなるいに志紀は俯き、静かに口を開く。 「…………別に…」 「……言いにくそうな顔して……。告られた?」 「――――…!!」 あっ、当たりだ。 志紀は顔をあげ、るいを見る。 そんな志紀をみて、るいは落ち着いた表情で志紀に聞く。 「……OKしたの?」 「…――してない」 「…そっ。やっぱりまだ杏里のことが忘れられないから?」 「…………」 志紀は何も言わず、また静かに俯く。 「親友であるあたしにでさえ、急に何も言わず転校して………まさか彼氏だったあんたにまで言わずとはね…」 るいはグラウンド側の窓に視線を移しながら言う。 「何度電話かけても出ない、音信不通状態。…もう杏里のことは忘れたら?」 「………わかってる!!!けど………」 志紀は顔をあげ、そう叫びるいを見る。 「……けど…無理で…」 志紀は悲しそうな表情でるいと視線を外す。
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