True‐start‐

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「…………杏里がうらやましいよ」 るいは志紀を見て静かに吐く。 「……………え?」 志紀はるいと視線を合わし、首を傾げる。 「志紀に………そこまで思われててさ。杏里がうらやましいよ……」 「…………るい?」 寂しそうに微笑むるいに、志紀はいつもと様子が違うことに疑問を抱く。 「…………おっと………、もうちょっと一緒に話したかったけど………。行かなきゃ」 るいは時計を見て志紀にニッコリ微笑む。 「……行かなきゃって………また援交か?」 志紀は真剣な顔をしてるいに問う。 「うん、そうだけど?」 「普通に言うなよ!行くな!」 志紀はるいの腕を掴み、止める。 るいは少し驚いて志紀を見る。 「絶対行かせねーよ…。もうやめろよ、まじで…。お前…いつか壊れるぞ?」 心配そうにるいを見る。 「…ぷっ……あたしが壊れたら、どうしてくれる?」 るいは笑いながら志紀を見る。 「し……真剣に答えろよ!!まじで…心配してんだから…。」 「………大丈夫だよ。てかさ、なんで幼馴染みにそんなに心配するわけ?」 るいは笑いながらも溜め息をつき、志紀に問う。 「………幼馴染みだから。お前は大切な奴だから、心配するんだよ」 るいはびっくりしたように目を見開く。 ………大切な人って…。そんな言葉、幼馴染みに使うのかよ。 「……幼馴染みとして、大切な人?」 「…………はっ?当たり前だろ。小さい頃から一緒なんだし…」 志紀は眉をつりあげて言う。 ……………たくさん嬉しいこと言ってくれるなぁ、志紀は…。 でもね、志紀………… 「………無意識は罪だよ」 「…………えっ?」 少し恐い顔をして言うるいの言葉に、志紀は首を傾げる。 「………志紀がそこまで言うなら考える」 「……――――!!」 志紀はるいを見て、驚いた顔を見せる。 「でもなぁー…条件ある」 「条件?なんだよ?」 志紀は真剣な顔をしてるいに聞く。 「…………付き合って」 「………えっ?」 るいは妖しい笑みを浮かべ、志紀を見据える。 「あんたが私と付き合ったら、煙草も援交もやめる」
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