True‐start‐

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外にでれば、制服姿の自分が明らかに場違いだ。 かといって慌てることもなく、家へと向かう。 しばらく歩けば、駅にたどりつく。 ここでは会社帰りのサラリーマンなどたくさんの人がいる。 そしてこんな時間だというのに、募金に協力してください、と大人の人たちが箱を持って立っていた。 あたしはその人に近寄り、握っていたお金をその箱の中に押し込んだ。 「あ…ありがとうございます……」 もちろん、その人はびっくりしてあたしを見ていた。 「……いえ、必要ないので」 あたしはにっこり笑ってそこから離れた。 驚いた顔してたな、と考える。 そりゃあそうだよね。 三万という大金を募金する人なんて、そういないから。 はは、と声にだして笑った。 そして、ひたすら歩く。 この時の自分の頭の中はある一人の人物だけが支配していた。 長年の幼なじみ……。 いつも考えている。 それ以上でもそれ以下でもない。 変わることのないだろう関係。 あたしがどれだけそれ以上の関係を望んでも、きっと彼にはそんな気なんてないだろう。 前にある人に言われた。 私は生まれてからなんの不自由もなく、お金で買えるほしいものは何でも手に入れることができる環境の中で育った。 だから本当にほしいものなど、一生見つけることができないだろう、と。 でもあたしは見つけることができた。 ずっとずっと、望んでいること。 彼…最愛の人がいれば、なにもいらない。 地位もお金もなにも…… けど、きっと手にすることはできない。 なぜなら、幼なじみとしてしか彼はあたしをみてない。 出会ったときからずっと、今も──…。 そんなあたしは無意識に口にだしていた。 「……志紀」 ぽつりと、最愛の人の名前を………
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