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「…ちょっと遊びに行こっと」
るいはベランダを開け、柵に手をかける。
その時、ふと黄色い丸いものが目にうつった。
「…今日は満月かぁ…」
最後に満月を見たのはいつだっただろうか。
黒色と点々としている白の背景に吸い込まれてしまいそうな鮮やかな黄色。
思わずうっとりしてしまう。
るいは一人で笑顔を見せながらも、隣りのベランダの柵に手をかけ、飛び移る。
「ふー…成功成功!」
まぁ、何回もやっている私が落ちることはないけどね…。
それにたった20センチしか柵と柵の間が離れていないため、落ちようと思っても簡単には落ちれない。
てゆーか…鍵あいてるし…不用心だなぁ。
るいはのり移った隣りのベランダの鍵を見ながらクスクス笑う。
そして、勢いよくベランダのドアを開けた。
―――――ガラガラ
「…志紀!まーだ起きてるの?」
るいは近所迷惑にもなりそうな元気な声で、志紀という少年に声をかける。
「……声でけーよ!てゆーか、何勝手に入ってきてんだよ…」
机に向いて勉強していたであろう、志紀はるいを見て眉をつりあげ睨む。
――何回、同じセリフを言えば済むのだろーか……。
るいはニヤニヤしながら怪しい笑みを志紀に向ける。
「んー?いいじゃん、幼馴染みなんだし。てゆーか、帰ってきたら偶然明かりが点いてて…仕方ないから遊びに行ってやろっかなぁって!」
なーんて…会いたかったから来たんだけどね。
「頼んでねーし、てゆーか…また行ったのかよ?」
志紀はあきれたように言ったあと、真剣な顔をして質問をなげかける。
―――本郷志紀(ほんごうしき)彼が私の好きな人。
学校ではかなりモテるが本人は無自覚。
顔がいいからだろうか。
どっちかというとかっこいいより、かわいい系だと思われる。
まぁ、私からみるとだけど……。
るいは小さく深呼吸すると、にっこりと笑い、志紀を見る。
「…まぁね。よくわかりました!」
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