生命あるものからの宣告

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翌朝… 裕美と正彦が縁の下を覗くと猫の親子は、いなくなっていた。 『お兄ちゃん、見てみて。子猫がみんないなくなってるよ。』 『あの親猫のヤツがどっかに運んでいったんだな。』『なんだー。また遊ぼうと思ったのに。』     それから数日後、一緒に住んでいたおばあちゃんが亡くなった。 『なんだか急だったけど、もうおばあちゃんも年だったからね。寝込まず苦しまずに去ったんだ。それだけでも良かったよ。』 母親はそう言った。       数日後 『裕美、ちょっと来てみろよーっ。』 『どうしたの?お兄ちゃん。』 『いたんだよ。あのチビ猫たちがさ、野良猫のヤツ、納屋なんかに隠しやがって。』 『少し大きくなってるね。』 『そのうち、そのへんウロウロしだしたら、うるさくなるぞ。』   裕美と正彦は、木の棒で子猫たちを突きながら言った。
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