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私は目眩がしてその場で倒れました。
苦しい……身動きがとれない……な、何これ!何かにがんじがらめにされてる!?足元から生気が……生気が吸われている!!あの時みたいに!!
もうだめっ!ひきずり出される!!
幽体離脱というのでしょうか。その時私は、魂ごと体から離れていくように感じました。
この時、後輩部員が見たものはゴミ箱のところにいる、もうひとりの私の姿だったそうです。
その顔はゲッソリとやつれ、まさに生気を抜かれた屍のような表情だったそうです。
ノリちゃんは、ハッと思い私を揺さぶり、
『真佐美!しっかりして、真佐美!お経よ!あのお経を唱えるの!蛇なんかに負けちゃダメよ!』
き…祈天命…八…八大龍王破…破邪護身心言文…あ…悪しき霊よ……吾の前から立ち去り…時を待て…縁を待て…
私は覚えているお経の一節だけ、心の中で一心不乱に唱え続けました。
あとから聞いた話ですが、ノリちゃんはすぐにおばあちゃんに連絡してくれたそうです。
『蛇を埋めてやればいいの!?』
『そう、きちんと土に穴を掘って上に石を置くのよ。捨ててしまってごめんなさい、どうか鎮まってくださいって。心を込めて。あとはあたしも、真佐美ちゃんが無事でいられるように気を送るから安心しなさい。』
保健室で目を覚ました私は、自分の命が助かったことを知りました。
この一連の出来事が私個人の因縁によるのか、それとも学校という場所に因縁があるものなのか、私にはわかりません。
『ノリちゃん…私思うんだけどさあ、世の中には突然の心不全とか呼吸器不全とかで死んじゃう人がいるけど……その中にはこんないきさつで命を落とした人もいると思うんだ。絶対。』『………無事でよかった。』
こんなことがあったせいか、意外とゴキブリなど平気な私も、蛇だけは怖くて怖くてしょうがないのです。
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