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そして、いつも組の顔色をうかがってはヘラヘラしていた男から、薄笑いが消えた。
うずくまったまま、息を止め玄関のたたきをじっと見つめていたりする。
それでも
『テメエ!何やってんだ!』
なんて怒鳴られりゃ、すぐに
『あ、スイマセン、スイマセン。』
ってヘコヘコしてたんだけどな。
痩せて容貌が変化していくのは止めようがなかった。
はじめは組長がヤツのことをうっとうしくなって放り出そうとしたんだよ。
でもポン(覚醒剤)喰ってるとヤバいだろう。何かやったらこっちに火が回っちまう。
だから、喰ってるか喰ってないか確かめてから追っ払おうってことになったんだ。
いやいや、破門なんかしないよ。見習いの追い回しもいいところだからね。
盃なんかないんだから。
佐藤さんたちは兄貴分と一緒にチョロに服を脱ぐようにといった。
針跡を調べるためだ。
ヤツが金欠なのはわかっていたから、ヤクなんて喰うはずもねえと思ってたけどね、ほら、念には念を入れるのが俺たちのやり方だから。
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