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「ぅうん」
ふと美穂が寝返りをうった。いやこれは寝返りというものではない。美穂は俺の首に両腕を絡ませ我が唇を奪おうとしている。
「そんな寝返りがあるか!」
俺は動かない体をなんとか上下に動かし抵抗してみせた。
「バレたか」
美穂はちいさく舌打ちをして言った。だがまだ腕は首から離れない。
「バレるに決まってるだろ、どこの世界に寝返りで兄の唇を奪おうとする妹がいる?」
「えぇと、ここ?」
美穂はかわいらしく頭を右に傾けながら言った。その姿は胸にキュンとくる何かがあった。
「そんなかわいらしく言っても駄目だぞ、というかいつから起きてたんだ?」
「お兄ちゃんが私に『愛してるぞ、早く起きないと食べちゃうぞ♪』って言った時に起きた」
ツッコミたいところ満載だ。それに語尾の♪は気持ち悪いだろ。
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