基礎魔法学と抜き打ち実技試験

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総合魔法学とは、この国ではラーム魔法学校のみにある科目である。 早い話が魔法士の戦闘訓練に近い。すでに養成所で簡単な攻撃魔法や防御魔法は習っているが、この授業ではそれをさらに応用したものを習う。 この教科はついこの間まで講師が-前任が魔法実験の失敗で手足を吹き飛ばされるというアクシデントに見舞われて引退したため-不在だった。そのため基礎の復習の繰り返ししかさせてもらえなかったのだが、先日ようやく新任の教師が到着し、生徒たちの間では期待が高まっている。 そして、今日はその新任教師の記念すべき初授業なのである。教室でのおしゃべりも主にその話題だ。 ところで、総魔学の話がでた瞬間盛り上がるどころか逆にさらに落ち込んだものが約一名。 「・・・あのさ、レイ、俺ら何か悪いこといった?」 ゴーストと見間違われても文句も言えないほど沈痛な表情のレイに、カルがおそるおそるといった感じで尋ねる。 「少なくともその面のままで今夜カルの部屋へ行ったりするなよ?こいつは見かけ通り心臓が弱いんだ」 いいながらラスがカルの膨れた腹をさする。 「ラス、君は一回人体学について勉強し直した方がいい。そこは胸ではなく腹だ。心臓はない」 「こりゃ失敬。てっきり臓器が全部腹に集中してるのかと思ったよ」 「そうか、思いっきり殴られたいんだなお前は」
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