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「誤魔化さない方がいいよ~」
腹の立つニヤニヤ笑いでこちらをのぞき込むリアン。
「この人でしょ?新しい講師」
机の上に指で名前を書く。
瞬間顔面蒼白になってしまうあたりはやはりレイが未熟なのか。
「あ、やっぱ本当か」
フフフンといやな笑い方をする。
「・・・何でお前知ってるんだ?」
するとリアンは肩から下げたポシェットから一通の手紙を取り出した。
「本日当人からの連絡が届きましたの」
何で日頃あれだけいい加減なのにこういうところだけ律儀なんだあのバカは!
レイは激しい頭痛を感じた。
「なに?そんなにイヤなの?」
「嫌というより嫌いなんだ」
仏張面で頬杖をつくレイ。
「魔法士としても一人の人間としても飛びっきり嫌いなんだよ」
「何で?」
「何でって」
答えようと向き直り、止まる。
こちらに向けられる幼なじみの目が意外なほど真剣だったから。
「もしかして、まだ引きずってるの?」
主語のない台詞だが、レイには理解できた。
彼女は8年前のあのことを言ってるのだろうと。
「はっきり言ってお前の思っているような理由じゃない。単に性格的に合わないだけだ。あのことは俺なりに踏ん切りつけてるし納得もしてる」
リアンはしばらく考えている風であったが、
「まあそれもそうか」
もともと難しいことを長く考えられるほど精巧な脳の持ち主ではないので、あっさりと納得してしまう。
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