プロローグ

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あなた方の身近に「魔石戦争」を知らないと抜かす者がいたら、速やかに最寄りの医術師に診せることをお勧めする。おそらくその人は何らかの形で精神を病んでいるに違いなく、的確な処置を施す必要があるからだ。 さて、もしあなたが一般常識を持ち合わせているなら、四百年前までこの世界が何百もの小さな国々に分かれていたのを知っているはずである。 無論この国も影も形もなく、あったとしてもおそらく名も無き諸王国の一つでしかなかったはずだ。 加えていうと、当時はまだ大賢者ザーハが発表した「魔力方式」は世に知られておらず、魔法に対する知識は皆無に等しかったことも、この章を読むにあたって念頭に置いてもらいたい。 言い伝えによれば、その世界の構造を覆したのは、一つの一見何の変哲もない石であったといわれる。 クルイム著・「ラグナ史・魔石戦争の章」の冒頭部より抜粋
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