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女子にしては長身で、ウェーブのかかったロングヘアーがよく映える。
「・・・何してんだ?」
目の前で行われるコミックショー顔負けのてんやわんやに面食らいながらも、状況把握のためとりあえず問いかける。
「うわぉ!レイ?!」
白昼に竜におそわれたような表情でリアンが飛びさする。
「あ、あんたなんでここに!!」
「・・・十年来の腐れ縁なんだから俺の習慣くらい知ってるだろう?」
それにしても何でここまで驚かれなきゃいけないんだろう。
「で、いったいこの騒ぎの原因は?」
するとアランが眼鏡がずり下がるほどの深い深いため息をついた。
「リアンに魔器形成の原理を教えてたんだ」
「魔器形成?」
レイは唖然として聞き返す。
「今更か?あんなもん養成所のカリキュラムでとうの昔に終わっちまってるぞ?」
「その通りなんだけどな」
アランが「困ったもんだ」というように肩をすくめる。
魔器とは、「魔力保存器」の略称である。
通常魔法士が魔法を実行する場合、「魔玉」と呼ばれる魔力の小さな固まりを生成する。魔玉は大きさこそ小さなビー玉程度でしかないが、極めて高濃度の魔力が凝縮されており、魔法士たちはこの魔玉から魔力を取り出し、あらゆる魔術を使用する源とする。
ただ、この魔玉は極めて脆い。どれほど熟練した魔法士でも魔玉を空中に保てるのは二~三時間が限界で、レイたちのような少年となると十五分がいっぱいいっぱい。加えて魔玉は保持並びに形成にはある程度の体力を必要とする。消える度に魔玉を形成なんてしていれば魔法士の方が保たないのだ。
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