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それゆえに、魔法士の大部分は「魔器」を使用する。
魔器とはいわば魔玉の入れ物であり、一部を除くあらゆる物質を魔器として利用できる。たとえばレイは銀の短刀と愛用の懐中時計が魔器だし、他の生徒たちも本であったり羽ペンであったり様々だ。
魔器を利用した場合魔玉の保持可能時間は(道具によって多少の差はあるものの)どれほど無能な魔法士でも最低二十四時間まで延びる。加えて魔器として使用されている道具の強度や性能を微弱ながらあげることもできる。原理自体も簡単で、素質のあるものなら四、五歳でも形成できるのだが・・・
「リアン、お前養成所のカリキュラム受けたよな」
するとリアンは誇らしげに胸を張る。
「あたしの記憶力の無さをなめないでほしいものね」
自慢げに言わないでほしい。
「じゃあこいつは今までどうやって魔器を作ってたんだ?」
授業の際には彼女は何故か必ずレイの隣に座る。そのときはリアンも水晶玉を魔器に使っていたはずだ。
「あれ私のなのよ~」
未だ時計ショックから立ち直れないミラが地の底から聞こえてくるような声で答える。
「いつもは魔器も魔玉も私が貸してあげてるの~。ただ毎度毎度貸すのも大変だから何とか覚えてもらおうとしたんだけど・・・」
一度時計の残骸に目を留め、再びオイオイと泣き出す。
「買ったばっかりだったのに、高かったのに~!」
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