それは、きっと

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最後の授業が終わる頃にはとっくに雨が降り出していて誰かに借りようと思ったけど一々、声かけるのは面倒だし、女に声かけて勘違いされたらやっぱり面倒だし。 …しょうがない濡れて帰ろ。 そう思って誰もいなくなった教室からでた。 暗い雨の臭いのする廊下をゆっくりと歩く。 別に意味なんてないけれど、なんだか世界は俺一人みたいな開放感があるような、ないような。 んーまぁどうでもいっか。 ウォークマンから適当に選んで音楽を流す。 流れてきたのは何ヶ月か前に流行ってた優しい恋のバラードだった。 ……なんだか自分には似合わない。 でも何だかその優しい声が不思議と耳に心地良くて変えようとかは思わなかった。 そのまま何となく聞きながら靴箱に入ってる何通ものラブレター?だっけ?を無視して昇降口から出てふと前を見た。 その瞬間、俺の視界に飛び込んできたのは―――
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