4月

2/28
前へ
/60ページ
次へ
――新学期。 いつもより長めに鏡の前で髪の毛をいじっているのに気付き、苦笑いを零す。 …女みてぇ。 そうは思いながらも制服を適度に着崩し、家を出る前にもう一度全身を鏡でチェックし、無言のままに家を後にした。 そして今はクラス分けの張り紙の前。 溢れかえる生徒に少々ウンザリしながら、自分の名を探していた。 ウチの学校は特進科、普通科、家政科の3つに分かれている。 そのうち、家政科は3年間クラス替えがないが特進科と普通科は3クラスずつに分かれていて、俺はそのなかで、真ん中にある普通科と書かれている張り紙に目を向けた。 柏原 翔平[カシワバラ ショウヘイ] 自分の名前を見つけたら他の奴の名前は見ずにさっさと人込みの中から抜け出して教室に向かった。 「おはよ、翔平。」 階段を上がっている途中で後ろから声をかけられて顔だけ向けると、 「おぉ、悠樹。おはよ。」 1年の時に同じクラスだった日向 悠樹[ヒナタ ユウキ]が立っていた。 「また1年よろしくな。」 「え!?同じクラス!?」 まじで!?なんて喜んでいたら、悠樹が呆れた顔でお前張り紙みてねぇの?て、言われた。 「自分のとこだけは見た。」 俺がそういうと納得したようにあぁ、と笑う。 「じゃあ田口[タグチ]と水谷[ミズタニ]と渡辺[ワタナベ]も一緒ってことも知らないみたいだな。」 「すげぇ!また皆同じクラスじゃん!」 そんなことを喋りながら悠樹と新しい教室に向かった。 .
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加