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例によって校長の話は長く、さらに生活指導の先生の話も長くて、俺の脳ミソを睡魔が侵略し始めていた。
[続いて表彰です。]
少し遠ざかりつつあった意識を司会の先生の声で戻って来た。
今日の表彰は、俺が所属しているバスケ部がされる。これはちゃんと見ておかなければ。
そして壇上には、男バスの先輩がふたり少々緊張した面持ちで表彰されていた。
ー―パチパチパチ…
拍手の中、先輩達が壇上からいなくなった。
やっと終わっ[続いて女子バスケットボール部。]
まだあるのかよ!
心の中で小さく突っ込みを入れながらまた壇上に目をむけた。
壇上に上がったふたりの女の先輩。そのひとりを見た瞬間俺は目を丸くした。
それはまさしくあの窓辺の子だった。
[優秀選手賞。原 佑菜[ハラ ユナ]。貴方は第……]
原 佑菜っていうんだ…っていうか女バスだったんだ。
いつも隣りで練習してんじゃん。しかも今までその存在を知らなかった自分って一体…。
と、苦笑いしているうちに表彰が終わってしまった。そしてそのまま始業式も終わって学年、クラス毎に教室に戻る際にあの人を見つける。彼女は3年生の列に混じって友達と談笑しながら歩いていた。
3年生なんだ…。そう思いながら先輩が見えなくなるまで、俺は先輩をみていた。
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