4月

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そのあと教室に戻ってから、委員決めなどをしてから下校となった。 「じゃあなー、翔平!」「おう!明日な。」 しかし俺は午後から部活があるので悠樹達と手を振り、部室へと足を向けた。 「まじかよ…」 部室のドアを開けようにも、鍵が掛かっている。大抵は先に先輩が来ていて開いているのだが、今日はまだ来ていないらしく開いていなかった。 「…待ってるか。」 下手に鍵を取りに行くとすれ違いが起きる可能性もあるため、とりあえず大人しく部室の前で待つ事にした。 部室の前には誰がいつ持って来たのかわからない古びた社長イスがある。座るとギィッ…となるが、これがまた座りやすい。俺はそれに腰を掛けて曲を聴きながら携帯を弄っていた。 不意に角から誰かが曲がって来るのを感じて視線を上げると、あの先輩が鍵を片手に歩いて来た。 「(そっか…今日は女バスもあるんだ。)」 ガン見する訳にもいかず、俺は携帯の画面を見るふりをしながら視界ギリギリに写る先輩を見ていた。すると先輩がこちちを 「おいっ!柏原!」 「ぎゃっ!」 いきなりヘッドフォンを取られ、後ろから大きな声で名前を耳元で呼ばれて変な声が出てしまった。 こんな事をするのはひとりしかいない。痛む耳を抑えながら後ろを振り返るとやはり予想通りの人が立っていた。 .
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