4月

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「その様子だと今日も来るの遅れそうだね?」 ニコリと笑いかける先輩をまたも俺は目を奪われた。身体の脈拍が上がっているのがわかる。 「うん、ごめんねー。寛恵[ヒロエ]に言っといてくんない?」 「りょーかぁい。」 そんな簡単なやり取りの中、俺はただボーッと彼女を見ていた。 そのあと端山先輩は平林先輩に引きづられる形で連れて行かれ、俺は着替えてボールを持って体育館へ向かった。 体育館の中にはもうあの人がいて、バッシュの紐を結んでいた。 「よしっ。」 結び終わったのか、先輩はボールを軽くつきながらメインのリングへ向かった。俺はそれを横目で見ながらモップに手を掛ける。が、横目で先輩を見ていたためモップを倒してしまった。 慌ててモップを拾うとザシュッ。と、気持ちのいい音が静かな体育館に響く。 視線を先輩に向けると先輩はフリースローラインにボールを持って立っていた。 「(あれ、なんで先輩ボール持ってるんだ?)」 シュートが入る音がしたあと、数回ボールがバウンドする音がしただけで先輩のバッシュの音はしなかった。 おっかしいなぁ。そう思って、モップをかけながら先輩の背中を見つめた。 .
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