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雪夜は小さなお墓に白いバラを供えると目をつむり、手を合わせる。
そこに慌てながらくる男が一人。
髪は金髪、派手なアクセサリーをつけ、着ているシャツは胸元がはだけていて、どう見ても不良といった感じだ。
だが、雪夜に戸惑う様子も怯える様子もない。
それもそのはず、彼と雪夜は親友だからだ。
彼の名は津野田 晃(ツノダ コウ)
年齢は雪夜と同じ年。高校の頃からいつもつるんでる陽気なヤツである。
「やっぱりここにいたか! ダチが大変なんだよっ手かして」
津野田は雪夜の前で手を合わせ、頼み込む。
「お前、ここには来るなって何度も言ってんだろ!」
雪夜は半分呆れたように言う。
「ワリィ。部屋にいなかったから… で、頼み聞いてくんねぇ?」
謝ってはいるものの、全然悪いと思ってない津野田。
「またかよ… お前のせいでオレが恨まれたうえに絡まれるんだよ。絶対行かねぇ」
雪夜はそう言うと手を合わせている津野田に背を向け、スタスタと行ってしまう。
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