哀れむように蔑むように

10/11
前へ
/11ページ
次へ
イヤードが組んだのは、数少ない少年兵の生き残りで、一歳年上のナジだった。 ナジは他の者に比べると銃の扱いが下手で、足も遅かった。しかしその代わりに、妙に物知りだったため、イヤードも含めて無学な仲間の間では、特別な目で見られていた。 アジトを出た翌日に、イヤードはナジに尋ねてみた事がある。自分たちは一体何と戦っていたのかと。 実際のところ、少年兵たちは敵の正体を知らなかった。どこかの軍隊だとは分かっていたが、それだけだ。実戦では敵の歩兵よりも、分厚い装甲を備えた巨人(のようなもの)によく会っていたから、相手の顔が全く見えなかったからかもしれない。 ナジは簡単な事だと言わんばかりに、コクレンだと自信満々に言い切った。 コクレン――その言葉の意味がイヤードには全く分からない。 その意味と共に、なぜ彼らがやってきたのかを訊いたが、ナジは言葉を濁した。 要するに、ナジにも分からなかったのだろう。その事を指摘すると、悪い目付きをさらに歪めて、憤慨してしまった。 今思うに、図星だったのだろう。 いや、そもそも敵はコクレンですらなかったのかもしれない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加