哀れむように蔑むように

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赤茶け、ひび割れた大地。 切り立った岩が不規則な街並みのように並び、それらは地平線に沈もうとする西陽を受けて、長い長い影を落としている。 時折強く目を刺す陽光に顔をしかめながら、イヤードは乾いた大地を必死に蹴っていた。 そこかしこが擦りきれて傷んだ服は、もはや襤褸同然。それと同様の靴も、その機能をちゃんと果たしているとは言いがたい。 獣のような荒い息は、吐くたびに肺が食い破られそうになる。 足裏から伝わる鋭い衝撃は、脳を揺さぶり、ともすれば五体がばらばらになりそうな気さえした。 それでもなお、イヤードは足を止めるわけにはいかなかった。 むしろ裏腹に、それらの苦しさが、今の状況での数少ない生きている感覚とも言えた。
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