哀れむように蔑むように

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その後、もともと運動能力は高かったうえ、銃の扱いもみるみる上達していった。そしていつの間にか、イヤードは同年代の少年兵たちの内でも一目置かれる存在へとなっていた。 だが、そんな日々はある日唐突に終わった。 イヤードたちの土地に敵がやってきた事で、全ては変わってしまった。 もともと少年兵は消耗品扱いだったうえ、敵の力は圧倒的で、仲間は櫛の歯を挽くように死んでいった。自爆攻撃した者もいる。 そして大人たちも、少年兵と同じように多くが消えていった。 気がつけば、この辺り一帯では大きな勢力だった組織は、見る影もなく痩せ細り、事実上瓦解した。 そして下された最後の命令は、生き延びて組織を再興しろというものだった。消耗品扱いの少年兵が、自爆攻撃を強要されなかったのは、少し意外だった。 そしてその日、イヤードたちは二人組でひっそりと夜陰に紛れて、アジトを後にした。
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