ハジマリ

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両親が死んだ。 電車事故だった。 七月のある日の午前八時の都内の新幹線が脱線、横転した。 死者二五九名、その中に僕の両親も入っている。 父は医者、母は弁護士。誰にでも自慢できる最高の両親だった。 今までの十六年間の人生、両親の期待に応えるためだけに生きてきた僕にとってこれはあまりにも大きすぎるものであった。 僕は生きる意味を失った。 有名私立高校に入り、積み重ねてきた努力も今となっては何の意味もない。 優秀な成績を取って喜ばせる両親はいない。 いっそうのこと、僕も遮断機の下りた踏切の中に飛び込んで電車にはねられて死んでもかまわない。 しかし、母方の祖母が引き取ってくれることになり、遠くの田舎町に引っ越すことになった。 近所に公立高校があるが、僕の成績なら編入試験も余裕でパスできる程度のところらしい。 もうこれからの人生なんてどうでもいい。 意味のない日々にただ身を任せていつか廃れていけばいいんだ。
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