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荷物をまとめ、祖母の町へ向かった。
祖母の町に行くのは初めてだ。
両親は結婚してから仕事が忙しく、実家に帰る暇が無かったという。
新幹線と電車を乗り継ぎ約六時間、目的の駅に着いた。
祖母は駅の出口で待つと言っていた。確か南口だったか。
僕がよく知っている駅と比べてかなり小さい駅だった。
人も少ないし、店もない。
本当に同じ国なのかと疑った。
改札を出て駅の南口から出ると、想像していたのとは少し違った景色が広がっていた。
田舎町と聞いて一面に田畑が広がっていると思っていたのだが、駅の前にはバス停があり、タクシー乗り場もある。
目の前には役場らしき建物も見えるし、駅の後ろにはマンションもある。
しかし、空がとても広かった。
首が痛くなるくらいに見上げても高層ビルの隙間からしか見えなかった空がこんなにも近く、広く感じられたのは生まれて初めてだった。
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