0.始まりを告げる語り

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春は出逢いの季節であり、恋の季節である。 どんな人であってもこの季節は色々な人々と出会い、別れていく。 それは僕、春日直也(カスガナオヤ)も同じで、友人とともに過ごしていてもそういったことがよくある。 ただ高校二年になると転校とかはとても少なく……いや、むしろ無いと言っていい。 恋の話にしても一年生の夏に付き合い始め、秋には別れるスピード破局をした僕にとってはつらいことでしかない。 初めての彼女に「性格が気に入らない!」と言われれば誰だって恋愛不信になるだろ? 何だよ性格って……なおせっこないじゃん。普通は服装とかじゃないのかよ! ちょっとした鬱状態に陥りながら平坦な道を進んでいく。 何度も繰り返し通ったこの道も桜並木が綺麗に色づいて、進む先全てにレッドカーペットが続くかのように散花が覆っている。 「最近はかなり咲いてきたな~……」 春の暖かい日差しを浴びながら呟いた。
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