0.始まりを告げる語り

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いきなり一陣の風が吹き抜けるかのようにふわっと花びらが舞い上がり、僕の隣を白く光沢のある長いリムジンがスレ違っていった。 桜の色とリムジンの色のコントラストが僕の瞳を楽しませてくれる。 これを後で部活の絵の題材にしようかな? なんて考えているうちにリムジンは見えなくなってしまった。 「そういえばリムジンなんて初めてみたな~!」 これは新学期そうそう幸先が良いのかもしれない! 今日はただ春の風が桜の花を優しく撫でる、そんなほがらかな1日になってくれるものとばかり思っていたんだ。 あのリムジンとの出逢いがどんな大変な学校生活の幕開けとなる足音かをその時の僕は知るよしもなかった。 彼女たちとの出逢いは突然……そう、本当に突然やってきて今までの日常を否定し、新しい本の1ページとなって僕に襲いかかってくることとなる。 それが今日、我が校『私立西桜高等学校』の入学式の日であった。
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