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ここは結構都会の方だがリムジンなんてものは一度も通ったことがないのでみんな呆然とした面持ちである。
そんな空気を無視するかの如く、運転席から初老の男性が出てきて後部のドアを丁寧に開け放った。
その光景をみてその場にいる生徒たちはざわざわとし始めた。何せリムジンの次は執事らしき人物が出てきたのだから騒がしくもなるだろう。
「初めて執事みた!」
「どんな人が出てくるのかな?」
「カッコいい王子様とか♪」
「いやいやお嬢様だ!」
一部の人たちが男か女かで揉めるなかで、ゆっくりとリムジンから一人の少女が降り立った。
ふぅ~と小さく息をはきながら少女は周りをみる。
「嘉藤さん、何でみんな私を見てるんでしょう?」
「それはおそらく車から出てきたからですよ。他生徒は徒歩で登校しているようですし」
自分がみんなの視線の中心にいることが恥ずかしくなってきたらしく嘉藤と呼ばれた男の後ろに隠れた。
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