82人が本棚に入れています
本棚に追加
「お嬢様、終わり次第連絡をくださいませ。千鳥はしっかりとお嬢様のお手伝いをするんだぞ?
では失礼します」
ショートの少女は「はい!」と小さく敬礼する。
それを見た嘉藤はリムジンに乗り込むとそのまま去ってしまった。
「千鳥、さっさと行くわよ」
「あ、お嬢様待って~!」
長くウェーブのかかった黒髪をもつお嬢様に置いて行かれないよう、小さい体で出来る限り大きい歩幅にして千鳥はついていった。
二人の少女が通り過ぎるとその場にいた生徒たちは緊張の糸が切れたかのように一斉に「は~…」と息をはく。それほどの緊張があったということだ。
しかしそこは西桜生。生徒たちはさっきまでと同じように勧誘を再開し始めた。
どんな驚きの事態に陥っても直ぐに立て直しにかかるのがこの学校の良いところもあり、また悪いところでもある。
その中に一人だけ、じっと二人の少女を見続ける影があるのに誰も気が付かなかった……
最初のコメントを投稿しよう!