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「あなた、甘味処で見たときから、強いと思ってたんですよ!」
再び顔を総に向けて、刀を構える。
「俺にはアンタと戦う意味がないんだが?」
「私にはあるんです」
上機嫌で総の意見を無視する沖田にため息をつく。
どうにかここを穏便に切り抜けられないかと考えるが
何も策が浮かばない。
つまりはどうしようもないのである。
「壬生浪士組はなんでもないやつに斬りかかるのか?」
苦し紛れにそう言うと、沖田は意外にもそうですね、と同意した。
「そうですよね、やりあうなら屯所でにしましょうか!」
名案!という風に目を輝かせる沖田には、総はもちろん
後ろにいた3人さえもため息をつかざるをえなかった。
ここは、引き受けないとどうにもならないと早々に諦めた総は仕方なくも沖田を見据え、嫌そうに了承した。
本当ですか?と嬉しそうに聞き返す沖田に総はただし!と条件を付け加える。
「今日は無理だ。
家に帰らなきゃならねえ。
明日、屯所に行ってやるよ。」
総が嘘を言う可能性を考えていないのか、はい!と沖田は返事をすると、
ではまた明日。と行ってポカンとしていた3人を連れて帰っていった。
とりあえず、一難去ったとホッとした後、浪士を奉行所まで届け、
着替えて家に戻った。
今日のことがなかったことにならないか、と願いながら
珠の隣の布団にもぐりこむのだった。
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