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季節は春。
綺麗な桜吹雪がこの小清水市を包み込む。
突然の別れから早四ヶ月。
クリスマスも年越しも、葵家で過ごした。
我が愛しの恋人神川唯がいない寂しさを乗り越え、俺こと葵梨雄と妹の未緒は今……神川屋敷の前にいる。
「帰ってこれたな……」
「うん!」
未緒もご満悦のようです。
四ヶ月という期間は、とても長かった。
でも……それも唯の笑顔のお陰で乗り越えられたんだ。
唯がいなくとも……俺はあそこで唯に何度も救われた。
今度は、俺が唯を支える番だ。
「行こうぜ、未緒」
「うん!お兄ちゃん!」
お兄ちゃんとか……もう照れちゃうだろうが。
俺たちは踏み出した。
神川屋敷の門へ。
唯のもとへ。
あの四ヶ月を思い返しながら……。
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