3549人が本棚に入れています
本棚に追加
そして4年前と変わらず
父から貰ったマンションに帰る
「…タダイマ」
半義務的に暗闇に挨拶をした
もちろん部屋には誰も居ない
だけどもしかしたら…
あの時千晴に合鍵をあげたんだ
いつか遊びに来るかもしれない…
そんな希望を捨てられずにいた
千晴を思い出す度
彼の目は悲しみに満ちていた
その姿は彼女への思いの大きさを物語る
もう幼い頃の隆志ではなかった
「…ハァ」
リビングへ行き、テーブルで本を開く
彼は経営学を学んでいた
本を買い、黙って読むだけだが
彼にはそれで十分だった
こうして毎日の日課を繰り返していると
~♪
携帯が鳴った
「…?」
滅多にかけてはこない父だった
最初のコメントを投稿しよう!