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最寄り駅から、商店街を抜けて、古い我が家が見えてきた時に、ああ、私って悪魔にやっぱり魅入られているに違いないと思った……。
我が家の灯りがついてるよ……。
ってことはお姉ちゃんもう帰って来てるよ。ヤバイどうしよ。
私のそんな心中なんか知らない優衣ちゃんは呑気に我が家の敷地に入ろうとしている。
「美弥子。どしたの?あ、灯りついてるね。お姉さん帰って来てるんじゃない?」
「ゆ、優衣ちゃん、あのさあ……」
この危機的状況を回避しようとしている私を悪魔は容赦なく責め立てる。
玄関の扉が大きく開いたのだ。
「みゃーこ! 何してんの! 近所迷惑でしょうが! それと早くなんか作って! あら、誰? その子?」
もう逃げ場なんてないよ……。神様にはもう頼まない。この際悪魔でもいい。お姉ちゃんが余計な事を言わないでくれさえすれば……。
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