6974人が本棚に入れています
本棚に追加
優衣ちゃんがしくしく泣き始めた。私はガスを止めてお玉をそのへんに投げて急いで居間にもどる。
「お姉ちゃん! 優衣ちゃんに何、言ったの?」
お姉ちゃんは、何本目かのビールをグビリと喉を鳴らして飲んでから、鼻で笑う。
「あら、本当の事を言っただけよ。貴哉くんとやら、将来かなり『いい男』になりそうな男なのに、もったいなかったわねえって言っただけよ」
優衣ちゃんの泣き声がシクシクから、エンエンになり始める。
それだけでも、酷いけど、お、お姉ちゃん、きっとそれだけじゃあないよね?
優衣ちゃんは涙を溜めた目で私を見上げる。
「美弥子、お姉さん、私が悪いって言うのよ。他の女に走ったのは貴哉なのに」
最初のコメントを投稿しよう!