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母が亡くなってから、あの下町の古い家に祖母と三人で暮らしていた。祖母も先頃亡くなり今はお姉ちゃんと二人で暮らしている。
いい加減古い家を売ってマンションでも買おうか? なんて二人で言っていたのだけれど、妙に落ち着く雰囲気と、いい思い出はあまりないはずなのに、自分達の本拠地のような気がして、なかなか踏み切れず、結局今も二人で住み続けている。
「そういえば美也子のお姉さんに会った事ないよね?」
一番触れられたくない話を優衣ちゃんにされて、私は動揺を必死に隠す。
「あ、そういえばそうだね。お姉ちゃん忙しいから」
「SEASONSで働いてるんだよね? やっぱりキャリアウーマンってかんじ?かっこいいんだろうなあ」
優衣ちゃんが目を輝かせてお姉ちゃんの事を想像しているのをみて、私は軽くため息をつく。
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