序章

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――某国後宮―― 有史以来この地を治めてきた者達が住まう宮城。 その深奥部にある、煌びやかでいて、いつもは静かな――時折琴や唄が響きわたるその建物は、いつもとは違い人々の叫び声や悲鳴が響いていた。 そしてそれよりも更に大きな鬨の声と魔物の鳴き声も。 「急げ!早くその子を……」  「はい!」  「その子は神宮寺家の、この国の正式な後継者。決して失う訳にはいかない!術者の用意は!?」 「後少しです!」 突然、背後で一際大きな魔物の咆哮が起こった。 男と女は隠し扉を抜け、とある小部屋に急ぐ。
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