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「あなた……!」
「もうここまで来たか……。珀を急がせろ!私はここで何とか奴等を食い止める!後は任せたぞ!」
男はそう叫ぶと、女と女に抱かれた小さな赤子を一目見、剣を片手に隠し扉から出ていった。
「用意できました!!」
珀と呼ばれた術者の前には、淡く光を帯びた術式が出現している。
「育ててあげられなくてごめんなさい……。貴方はどうか……生きて」
抱いていた赤子に絞り出す様な声でそう呟くと、女は赤子を光る術式の上にそうっと寝かせた。
扉の後ろでは、獣の、更に大き咆哮が響きわたっている。
「正妃様、お離れ下さい!」
そう叫ぶと術者は呪文を唱え始めた。
術式がそれに応えるかの様に光を増す。
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