第一章

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庭を歩くこと数分、壱影が目的の場所に着くと一人の少女が木の根元に腰をおろして本を読んでいた。 余りに読書に熱中していて、壱影が来たことにも全く気付いてない。 壱影はしばらく娘の姿を眺めていたが、時間を思い出し声をかけた。 「こら璃桜、山さんが必死で探していたぞ。ちゃんと時間を確認しなさい」 その声が届いた様で少女は本から顔をあげた。 壱影を見る少女の瞳は黒い。 が、よくよく見ると、片方だけ濃い蒼の様な深い碧の様な不思議な色合いをしている。 白い肌、黒く長い髪の毛、余りに整った顔に瞳が相俟って、どこか不思議な雰囲気を醸し出している。
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