【第1章】

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翌日。 力を込めた綾紐を届けに二条家を訪ねた。 昨日の内に挨拶は済ませていたので着くとすぐに咲妃都のもとに通された。 咲妃都は縁側に座って、そこから見える庭の景色をボンヤリと見ていた。 「咲妃都様」 そう、声をかけた。 咲妃都が不機嫌そうな、というか不満ありげな顔をして、こちらを見た。 「司殿、どうか咲妃都とお呼び下さい」 「…………分かりました。 では、貴方様も私を司とお呼び下さい」 本来なら依頼主を呼び捨てにする事など有り得ないのだが、頑として引く気が無さそうだったのでそう言った。 咲妃都が嬉しそうに笑んで、 「はい!」 と、言った。
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