Ⅰ 星の海 天使の声

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ぼくらは、青い炎で熱せられた流れ星を、熱さも感じることなく手の平にのせ、色々な形に変えることができる。小さくちぎって、こぶしほどの惑星を造ったり、息を吹きかけて、手の平ほどに小さい星雲を造ったり‥‥。それは、本物を縮小したものと寸分違わぬので、フィンガーと呼ばれる、小指ほどの小人族や、薄絹のような羽を持つ妖精人(フェアリー)などが、高い価値のあるものと交換して欲しがるのだ。小惑星なんかは、一人用の住まいとしてもってこいなのだという。  あと、それほど多くはないが、ぼくらは生き物も時々、流れ星から造りあげることがある。ユリノールも、ぼくらが造ったのだ。――かわいい、愛らしい、ぼくらの家族の虹色象は、うんとたくさんの流れ星を集めて造りだした。ぼくらにとっても自慢の作品だ。  これが、ぼくたちのもつ魔法だった。  流れ星から造った物は、その性質上、ほとんどが虹色になってしまう。(たとえばオーロラや、貝殻の裏側、オパールにも共通しているかもしれない。)だから、ぼくらの家の中は、いたるところ、妖精の笑いや夜露のように虹の光だらけだった。そしてもう一つ、流れ星から造った物の特徴として、これらは、けして壊れることも、又、死すことも、なかった。  何故なのかは、ぼくらにもわからない。けれどぼくらを知る人々は、“テ・ラトゥ・アータ”(神を超えた創り主)、又は“ノタソフィア”(ガラスの人々)とぼくら兄妹のことを、そう呼んでいる。image=230618596.jpg
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