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ふんふん、と鼻歌まじりに(みなさんは象が鼻歌なんか歌うものかと思うでしょうが、このおかしな虹色象は、うんうんと楽しげで、心地よい声を出します。歌にしては、で・た・ら・め・歌のようにあやふやですが、とても心が和むのです。)、地平線を歩いて行きました。まだ、陽は沈みきっておらず、二重惑星の母星、ユリノタ惑星が、ローズ色に染まって美しく、神秘な光景を作りだしている。
「きれいだね。」
ぼくは、ピンク色と薄水色のコントラストがとても好きだった。
大気の上層は薄い水色の雲をたなびかせているのに、その下はまるで絵の具を滲ませて描いた、淡い桃色の花びらを散り敷いたように広がっている。そして地平線の上には大輪の薔薇が一つ、優しく、そして誇らしげに咲いている。母星のユリノタ惑星が濃いピンク色に染まり、輝いているのだった。
「アタシ、大好きよ、この景色。」
ライラも云った。
「何百ぺん、何万べんと見ても、あきることない景色だもの。心に染み入るんだわ。」
何億年経っても、けして大人にならない少女は語った。
「ねぇ、ルリノ兄さん、あの母星を見て、いつも何を考える?」
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