『蠢動』

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思わず僕も止まる。 僅か二メートルほどの距離がやけに遠い。 でも声をかけなきゃ少女とは二度と会えないかもしれない。 僕は意を決して声を出す。 「あっ…あの…」 その瞬間、少女は振り返った。 真っ直ぐに僕を見つめる。 その瞳は少し紅く、とても澄んでいる。 僕はその不思議な瞳に吸い込まれるような感覚を覚えた。 やけにその時間が長く感じる。 長い、永い、永遠のような時。
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