~第零幕・願い~

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幼い頃から剣術や体術、医術にお茶、知策と兵法、さらには刀鍛冶を教えられながら育ってきた。 それはお母さんもおばあちゃんもそのまたお母さんも、同じように育てられた、所謂伝統。 その始まり、初代・美咲鈴華。 初代と言っても、後の世…つまり、私の代まで、その名が名乗られる事は無く、名前を継いだと言う意味で、私が二代目にあたる。 剣術の基礎は新陰流と言う話。 後にあらゆる流派を学び極めた初代は『美咲流』を創設。 代々継がれたそれは、決して表舞台には出はしなかったものの、一振りの刀と確かな技、そして伝書が存在を示してくれている。 幼稚園に通っている頃。 私は伝書を開いて読んだ事があった。 が。 勿論、そんな古いものを読める訳もなく、おばあちゃんに読んでもらった訳で。 私はそれをおとぎ話の様に思い、聞いていた。
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