~第零幕・願い~

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その伝書の最後にはこう記されている。 『いつか生まれ来る命、美しく咲く鈴の花散らぬ様、わが全て伝え遺そう』 と―― ――私が異質であると気が付いたのは、小学2年生の頃。 近所で、女子児童を狙う変質者騒ぎが起こった。 当然のごとく、児童のみでの外出禁止措置が取られる。 しかしそこはまだまだわがまま盛りな子供…… 私は親たちに内緒で出かけた。 外に出ると、警戒心むき出しの大人達。 見つかると叱られ、連れ戻される。 そんな緊張感が、楽しく感じたのだ。 子供だけでは味わえない『大人のかくれんぼ』に私は胸を躍らせ、目指すは通い慣れた駄菓子屋さん。 私の目的地まであと少し。 しかし―― ?「――こら、鈴華ちゃん、ダメじゃないか家に居ないと。」
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