出会い

3/10
前へ
/300ページ
次へ
思えば今までの人生の中で一番ビックリした出来事かもしれない。  時々、その学園に通っていたら……なんてことも考えるけど、今となっては過去の話。気にする必要はないだろう。 しばらく座って待っていると、先生がマイクを使って話し始めた。やっと入学式が始まるらしい。 「なぁ雅司」 河本が呟きながら、肘で僕を突いてきた。 「なに?どうかした?」 「あの娘見てみろよ。なかなか可愛くないか?」 少し離れた席に座っている女子生徒を指差して言う。 入学式の最中になにを言ってるんだか……確かに顔立ちは綺麗な女の子だけど…… 「入学式の最中になにを言ってるのさ。話してるところ見つかったら怒られるよ?」 「冷めた奴だなぁ……せっかく高校生になったんだから彼女の1人や2人、作りたいだろ?お前も可愛い娘探して見ろよ」 「イヤだよ……可愛い娘を見つけても話すわけじゃないのに…」 「バカ。目を付けたら後で声をかけて少しずつ仲良くなっていくんだよ。お前、彼女ほしくないのかよ?」 余談だけど、僕の彼女いない歴は年齢と一緒。つまり彼女ができたことがないのだ。 環境が環境だったし、彼女を無理に作ってお互いを束縛するのもイヤだから作りたい、ほしいなんて思ったことなかった。  
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6954人が本棚に入れています
本棚に追加