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思えば今までの人生の中で一番ビックリした出来事かもしれない。
時々、その学園に通っていたら……なんてことも考えるけど、今となっては過去の話。気にする必要はないだろう。
しばらく座って待っていると、先生がマイクを使って話し始めた。やっと入学式が始まるらしい。
「なぁ雅司」
河本が呟きながら、肘で僕を突いてきた。
「なに?どうかした?」
「あの娘見てみろよ。なかなか可愛くないか?」
少し離れた席に座っている女子生徒を指差して言う。
入学式の最中になにを言ってるんだか……確かに顔立ちは綺麗な女の子だけど……
「入学式の最中になにを言ってるのさ。話してるところ見つかったら怒られるよ?」
「冷めた奴だなぁ……せっかく高校生になったんだから彼女の1人や2人、作りたいだろ?お前も可愛い娘探して見ろよ」
「イヤだよ……可愛い娘を見つけても話すわけじゃないのに…」
「バカ。目を付けたら後で声をかけて少しずつ仲良くなっていくんだよ。お前、彼女ほしくないのかよ?」
余談だけど、僕の彼女いない歴は年齢と一緒。つまり彼女ができたことがないのだ。
環境が環境だったし、彼女を無理に作ってお互いを束縛するのもイヤだから作りたい、ほしいなんて思ったことなかった。
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