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∬放課後 HR∬
「………じゃあ今日の連絡はおしまい。気をつけて帰るのよ」
瀬桐先生はちょっと音の外れた鼻唄を奏でながら教室を出ていった。謎のテンションな教師が教室から消えたのを見届けるとみんなも帰りはじめた。
凛斗は明日からの授業の置き勉をしようと鞄を漁っていた。すると今朝の封筒が落ちてしまったが、凛斗は気付かない。
「凛斗、その封筒……」
雫が後ろから声をかけたことでようやく凛斗は気がついた。凛斗は作業を止め、雫の持つ封筒へ手を伸ばした。
「これか……、なんか今日の朝届いてたんだ」
凛斗は何事もないかのように答えた。
「この封筒…私も……」
雫が何か言おうとしたのだが、置き勉するのに夢中だった凛斗は勘違いしてしまった。
「え、雫にも届いてたの? じゃあ一緒に行こうぜ、1人だと心細いだろ」
凛斗は作業を続けながら言った。
「う、うん。体育館裏だよね」
雫は鞄を机の上に置いて待っているので、凛斗は申し訳なく思い作業を中断した。
「じゃあ終わったし、行こうか」
凛斗が鞄を肩にかけて歩く横で雫は両手で鞄を体の前で持っている。
そう時間もかからずに体育館裏につくことができた。
「雫、ここだよな。体育館裏って」
凛斗は後ろを振り向き、雫に話しかけた。
「すまない、凛斗……」
ここで凛斗の意識は途切れた。凛斗に最後の言葉が聞こえていたかは定かではない。
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