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雫はそこで一息つくと凛斗に尋ねた。
「協力してくれるか?」
凛斗はようやく雫の言っていることが理解出来てきた。まだよく知らないクラスメイトにわけの分からない組織への協力を求められているのである。
「協力っても、俺は何も知らないし、特に力があるわけでもない。俺が協力したからどうなるわけでもないだろう。そもそもなんで俺なんだよ!」
凛斗は立ち上がり、部屋を出ようとした。
「待て! まだ返事を聞いていない」
雫は椅子に座ったまま凛斗に声をかけた。凛斗の背中を見つめたまま、有無を言わせぬ鋭さで問う。
「今、俺に事情を説明してくれるのなら考えてもいい……」
凛斗は背後から感じる視線に釘づけにされ、足が動かない。
「違うな。私は協力するか、と聞いているのだ。協力すると答えれば必ず説明しよう。さもなくば……」
雫が右手を挙げると室内の壁という壁から銃が現れ、銃口が一斉に凛斗へ向いた。
凛斗はため息をつく。
(なんだよ、この待遇は……、選べるのは決まってるじゃねぇか)
生と死の天秤を目の前に置かれ、腹を括った凛斗は一拍おいてこう答えた。
「分かった、協力しよう」
この後、凛斗は雫から事情を車の中で聞きながら家に送ってもらった。
部屋に戻り先程の出来事を思い出そうとしたが、出来ない。ただ唯一思い出せたのは雫が最後に言ったこの言葉だけである。
「3日後の朝6時に迎えに行く」
その言葉だけが深く記憶に刻まれていた。
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