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一一4.12
凛斗はいつも通り登校した。今日はあいにく曇っており、蒼穹は見えない。
凛斗が教室に入り、席につくとすぐに瀬桐先生が入って来た。
「今日は一人お休みですね。水無瀬さんから連絡は入っています」
先生は出席簿に書きながら連絡を始めた。
この日、雫が姿を見せることはなかった。
一一4.13
「え~、今日も水無瀬さんはお休みです」
先生はまた出席簿に書きながら連絡を始めた。
結局、この日も雫は来なかった。
凛斗が家に帰り、テレビを見ているとニュースで『アーク』のことが報じられていた。凛斗は無意識にリモコンの操作をやめ、テレビに見入っている。
「明日、完全自立型二足歩行ロボット『アーク』の公開起動が行われます。『アーク』は先程入ってきた情報によると、高さは約3m、重さは約1tですが強靭な人工筋肉で動くため、垂直跳びで2mは跳べるそうです。握力は500kgを超え、センサーには最新のものを15種搭載しています。場所は公にされていませんが、何種類かの実験を行うそうです。これに対し政府は……」
通常、極秘で開発されたものを公開することはない。だが『アーク』を現場で使うには安全性を示す必要があったのだろう。一般人に見せなくても政府高官に認めさせればいいのだ。
凛斗は夕食に呼ばれてテレビの前を離れると、チャンネルは変えられてしまった。
凛斗はそのまま風呂に入って寝床についた。
その日は夢を見ることもなく次の日の朝を迎えた。
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