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「朝食はまだか? 朝食べなくては一日の活動に支障をきたすぞ」
ヘリに乗り込んだあと、雫は凛斗に朝食を勧めた。凛斗としては朝飯抜きの覚悟だったので予想外の提案に、凛斗はすぐさま首を縦に振った。
別になんでもいいな。と呟くと雫は武装した兵士に一言告げる。すると兵士は一礼し、駆け足で奥へと消えていった。
そのわずか2分後には二人の元へ皿に盛られたサンドイッチが届けられた。見る限り貴族が食べそうな豪華さである。
「なぁ、雫?」
凛斗が声をかけると、笑顔でサンドイッチに噛りつこうとしていた雫は手を止め、凛斗の顔を見つめた。
「サンドイッチってサンドイッチ伯爵が考えたのか?」
凛斗のどうでもいい質問に場の空気が凍り付いた。若干ヘリの高度も下がった気もする。
「私はそんな無駄な知識は備えていない。
サンドイッチが誰によって考案されたかなどという疑問は、サンドイッチが美味しければどうでもいいことだ。」
雫は再びサンドイッチに意識を戻し、今度こそサンドイッチに噛りついた。
そんな幸せそうな顔に話しかける勇気はなく、凛斗はおとなしくサンドイッチを食べることにした。
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