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大型航空輸送機により運ばれた『アーク』は綺麗に並べられて様々な視線を浴びている。
高度な訓練を受けた兵士に護衛されながら高官たちは間近で眺めているが、ACGの面々は離れた所から観察していた。
雫は『アーク』を見に来たのではない。嘘か本当か分からないCTGの情報の真偽を確かめるために来たのだから、間近で見る必要はないのだ。万が一のためにしっかりと『アーク』のデータは手元にある。
凛斗は仕方なく雫の近くにいる人達とコミュニケーションをとることにした。最初はさっきのディグルが話相手だ。
ディグルが言うには今まで幾つもの死地を乗り越えてきたが、ある日へまをして大怪我を負い、動けないでいたところを雫に助けられたそうだ。
兵士のディグルとの会話が弾んでいると、ふいにディグルはそばを通り掛かった研究者を捕まえた。
その研究者は強引に止められたにも関わらず、笑顔で自己紹介した。
彼の名は『樫本 賢太郎』『かしもと けんたろう』ACGの研究・開発部門の責任者でIQ235の天才。
以前学会から絶賛された理論を雫に説明すると、一度説明しただけで十数ヵ所の問題点を挙げられて雫の下につくことを決心したらしい。
凛斗がディグル、樫本の三人で話に花を咲かせていると、雫からお呼びがかかった。
どうやら『アーク』の公開起動実験が始まるようだ。
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